【AOC Champagne】AOCシャンパーニュ
Champagneに限ったことではないですが、AOC認可を得るには厳しい規則があり、
その内の主な規則について数点書きます。
※栽培地域、醸造方法etcについては詳しく違うページで書く予定。
AOC Champagne 1936年認定
生産地域
5つの県にまたがる319のcru(村)で生産され、県による内訳は次の通り ※()はcruの数
- Marne ( 212 ) 66%
- Aube ( 63 ) 23%
- Aisne ( 39 ) 10%
- Seine et Marne ( 3 )
- Haute Marne ( 2 )
Marneが圧倒的に多い。
指定の村の葡萄だけで造られた場合は、Grand cru, Premier Cru の名称の付記が可能。
Grand Cruは17村*1, Premier Cruは42村*2。
2つともGrand Cruだが、左はAvize(Grand Cru )の葡萄だけ使用しているので村名も記載することができる。右はいくつかのGrand Cru村の葡萄を使用しているので村名の記載はない。
2008年、INAOが生産地域を拡大しようとしているらしいのですが、まだ確定していません。40村ほど増える予定らしいです。
また葡萄栽培地は4地域が有名(青文字)ですが、実際は14地域から成ります。
- Le Massif de Saint-Thierry
- La Butte de Nogent l’Abbesse
- La Vallée de la Vesle
- La Vallée de l’Ardre
- La Montagne de Reims
- La Région d’Epernay
- La Vallée de la Marne et les vallées affluentes
- La Vallée du Surmelin
- La Côte des Blancs
- La Région de Congy - Villevenard
- La Côte de Sézanne
- La Région de Vitry-le-François
- La Butte de Montgueux
- La Côte des Bar
地図を探してもなかなか出てこないので、主要の地域を覚えていればいいかなぁと思う。
葡萄品種
全部で7つ。
主要品種はPinot Noir, Meunier, Chardonnay。
残りの指定品種はArbane, Petit Meslier, Pinot Blanc, Pinot Gris。
過去に書いた記事↓
剪定方法
Cordon de Royat, Chablis, Guyot, Vallée de la Marne の4つ。
Cordon de Royat
主枝一本を長く伸ばし、短梢剪定。
葡萄の収量と品質のバランスが取れた仕立て方法と考えられている。
Chablis
主枝を長くし新梢を短く剪定。
主にChardonnayで用いられるため、Côte des Blancs、Mongueux(Troyesの西側)などChardonnayの名産地で多い。高品質な葡萄が得られる方法と考えられ、特にPremier Cru, Grand Cruで持ち入れられる。
Guyot
短い主枝に新梢を長く剪定。
simple(シングル)、double(ダブル)または非対称の方式がある。画像はdouble
Pinot Noirに向いているといわれ、BourgogneのCôte-d'Orで多く見られる(特にsimple)。
Côte des Barに多い。成熟度を抑えつつ、適度な収量が得られる方法と考えられている。
Taille Vallée de la Marne
主枝を短くし、新梢を長く剪定。
Meunierのみに許可されている。名前の通りVallée de la Marneで多い。
芽数を多く確保できる方法でChardonnayやPinot Noirには不向きであると考えられている。
調べていく中でこの剪定方法はPremier Cru, Grand Cruで禁止されているという文を見かけましたが、INAOの原文にはそんな記載は見当たらないので書いていません。
簡略して書いていますが、実際は芽の数、地上から高さ何m以下の位置とか結構細かい。
収穫量の制限
まずChampagneは機械収穫はせず、必ず手収穫で行います。
基本収量の値は、1ha当たりの年間収量12,400kgで、毎年この基本収量をもとに、収穫の質と量により、INAOによってその年の収量が決定される。ただしAOCワインは、最大収量が15,500kgに定められている。
この数字は、シャンパーニュ地方の植樹密度の高さが理由で、平均1ha当たり8,000株*3と定められているため。
このように高密度にするのは、葡萄の品質を高めるために行います。葡萄樹が増えれば、収穫される葡萄が増えるように思えますが、そうならないために房数を制限した剪定が行われます。株が多ければ多いほど、養分を求めて葡萄樹同士が競合し、1株あたりの葡萄のつき方が少なくなり、結果として、より高い品質の葡萄を得ることが出来る。
圧搾で得る搾汁量
収穫収量ばかりでなく圧搾の搾汁量にも制限があり、果実160kgあたり、102リットル*4
これは、1ha当たり、6,600リットル(66hl/ha)の計算になります。
例えば、KRUG Clos du Mesnilという1.84haで造られるChampagneがありますが、
2004 : 12,548本, マグナムが500本なので55.2hl/ha、
2003 : 8671本、マグナムが659本なので40.7hl/ha になります。
※2003年は猛暑の為、収穫量が減っています。
瓶内二次発酵と瓶内澱熟成期間
瓶詰 Tirageから出荷までNVなら最低15ヵ月の熟成が必要とされ、うち12ヶ月の澱熟成が義務付けられています。Millésimé(単一年)の場合は、最低3年と定められている。
Champagneの法的熟成期間は、他の発泡性ワインよりも長めですが、現実には規定よりも長く熟成させることが多く、NVで2~3年、Millésiméでは4~10年熟成させることがほとんど。
※他地域の発泡性ワインの最低熟成期間
DOCG Franciacorta(イタリア)
NV18ヶ月、Rosé, Satèn 24ヶ月、Millesimato 30ヶ月、Riserva は60ヶ月。
DO Cava (スペイン)
NV9ヶ月、Reserva 15ヵ月以上、Gran Reserva 30ヶ月以上、Cava de Paraje Calificado 36ヶ月以上。
AOC Crémant de Bourgogne
9ヶ月以上
余談
「Champagne」という名称は何度か不正使用され、シャンパーニュ委員会により訴訟を起こされています。
有名な話だとYves Saint Laurent の香水でしょうか。同じフランスですが、関係なさそうです。
公式ホームページに「AOCシャンパーニュが勝訴した主なケース」というのがあるくらいなので件数は多いです。
参照サイト:
*1:Ambonnay, Avize, Ay, Beaumont-sur-Vesle, Bouzy, Chouilly, Cramant, Louvois, Mailly-Champagne, Le Mesnil-sur-Oger, Oger, Oiry, Puisieulx, Sillery, Tours-sur-Marne, Verzenay et Verzy
*2:Avenay-Vald’Or, Bergères-lès-Vertus, Bezannes, Billy-le-Grand, Bisseuil, Chamery, Champillon, Chigny-lès-Roses, Coligny (Val-des-Marais), Cormontreuil, Coulommes-la-Montagne, Cuis, Cumières, Dizy, Ecueil, Etrechy, Grauves, Hautvillers, Jouy-lès-Reims, Ludes, Mareuil-sur-Ay, Les Mesneux, Montbré, Mutigny, Pargny-lèsReims, Pierry, Rilly-la-Montagne, Sacy, Sermiers, Taissy, Tauxières, Trépail, Trois-Puits, Vaudemanges, Vertus, Villedommange, Villeneuve-Renneville, Villers-Allerand, Villers-aux-Nœuds, Villers-Marmery, Voipreux et Vrigny
*3:1978年:植え付けの高さ、間隔、密度、栽培手法、剪定方法に関する規則の制定。
*4:以前の規定では150kgだったが、1993年に160kgに規定